刑事事件の法律相談では何をするのか
1 事案の聴き取り
いつ、どこで、何をしたか、という事件の具体的な事実を弁護士に話します。
これが出発点です。
これをもとに、その後の手続きの流れや、方針が決まります。
人は弱い生き物です。
誰しも、自分がかわいいです。
そのため、多くの場合、はじめは、過少申告しがちになるかもしれません。
余罪を内緒にしているのが典型でしょう。
もっとも、それでは、その後の流れや方針のアドバイスがずれてしまいます。
弁護士は守秘義務といって、内緒にしておく義務があります。
記憶の範囲で結構ですので、話しておきましょう。
後になって、本人のお話にはなかった事件で、次から次へと追起訴(追加で起訴されること)が続き、当初の見通しがずれてくることがあります。
ご用意いただく示談金の額にも限界がありますから、最初の方で発覚した事件の被害者に多くの示談金を払ってしまった結果、後の方で発覚した事件の被害者に払う示談金が不足するという事態もあり得ます。
2 刑事手続の流れの説明
弁護士に話した内容をもとに、その後の刑事手続の流れが説明されます。
住所も職業も家族もなく、否認で、被害者と顔見知りで、共犯者が逃亡中なら、逮捕勾留されるリスクが高まるとか、初犯で認めなら示談成立すれば不起訴で釈放されそうとか、事案の具体的な内容によって、刑事手続の流れはバラバラです。
3 方針の検討
犯罪をしたことを認める事件(自白事件)で、被害者がいる犯罪なら、まずは、示談交渉です。
示談の成否によって、起訴か不起訴かなど、その後の刑事手続が大きく変わる可能性があります。
否認なら、基本的に、示談交渉はしませんが、取調べの対応が重要であり、完黙(完全黙秘)すべき場合もあります。
4 弁護士費用の説明
今は、弁護士費用は事務所によってバラバラです。
金額はもちろん、費用体系もバラバラです。
刑事処分を少しでも軽くしたい、というご希望がある一方、弁護士費用もできれば抑えたいところでしょう。
一般論でなく、ご自分の場合にはいくらになるか聞きましょう。
弁護士費用には、大きく分けて、着手金と成功報酬の2つがあります。
着手金は弁護士が活動するために必要なお金ですので、最初にお支払いいただくお金です。
成功報酬は成功して初めてお支払いいただくお金ですので、成功した場合に限り、お支払いいただくお金です。
弁護士が何(不起訴、略式、執行猶予など)をもって成功と捉えているのか、よく確認しましょう。
5 ご契約
ご要望に弁護士がお力添えできそうであり、弁護士費用にご納得いただける場合には、ご契約しましょう。
契約書や弁選(弁護人選任届)などの書類に署名し、ハンコ(認め印でよいです。)を押します。
刑事事件で起訴されないようにするために重要なこと
1 刑事事件で起訴されない場合
もし、交通事故を起こして相手にけがをさせるなどして刑事事件を起こしてしまった場合であっても、検察官の判断により起訴猶予の処分を受け、起訴されないですむ場合があります。
起訴猶予は、犯罪を認定することができる事実が明らかな場合に、検察官が、被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により、被疑者を起訴する必要がないと判断した場合をいいます。
2 示談交渉
もし、刑事事件を起こしたとしても、被害者に対して謝罪し、示談交渉をまとめて一定額の示談金を支払えば、そのことを理由として、検察官が被疑者を起訴する必要がないと判断することがあります。
示談交渉については、被疑者本人に代わって弁護士が被害者側と話し合い、適切な内容を取りまとめることが多いです。
示談交渉を行う必要もありますので、刑事事件を起こしてしまった場合、早いうちから弁護士に相談されることをおすすめします。
また、交通事故を起こした場合、任意の自動車保険に加入していれば、その保険によって被害弁償が行われる可能性もあります。
そのため、保険会社の窓口にも連絡を取られることをおすすめします。
3 環境調整
また、刑事事件を起こしたとしても、今後、二度と刑事事件を起こさないような環境にあると認められれば、検察官が被疑者を起訴する必要がないと判断することがあります。
そのためには、被疑者が二度と刑事事件を起こさない環境を整えることが必要になります。
例えば、二度と交通事故を起こさないため、運転免許を返納させるほか、運転していた自動車やバイクを処分すること、電車内で痴漢や盗撮をしないようにするため、携帯電話を解約するほか、電車を利用しない通勤経路に変えること、万引きをしないようにするため、買い物には家族同伴で行くようにすること、その他、同居する家族や勤め先の上司らが日常生活を監督することなどが挙げられます。
4 反省
示談交渉や環境調整などをしたとしても、まずは、自分が刑事事件を起こしてしまったことを反省し、どうして刑事事件を起こしてしまったのかをよく考えて、今後二度と刑事事件を起こさないようにしようと、十分に反省することが、刑事事件で起訴されないようにするためには重要なことになります。